成分詳解

スクワランとスクワレンの違い:エモリエント成分の種類と肌タイプ別の選び方

読了時間:約8分

この記事でわかること

  • スクワランはスクワレンを水素添加して安定化させた誘導体(酸化しにくい)
  • 肌の皮脂成分にも含まれるため肌なじみが良く、べたつきにくい
  • 現在の主流はサトウキビ・オリーブ由来の植物性スクワラン
  • 脂性肌でも軽量なオイルとして保湿の「蓋」役として使えるエモリエント
  • ジメチコン(シリコン)との違いはオクルーシブ性の強さとテクスチャー

成分表に「スクワラン」と「スクワレン」が混在しているのを見たことがあるでしょうか。名前が似ていますが、この2つは化学的に異なる成分です。

スキンケアに安全に使えるのはスクワランのほうで、スクワレンは不安定な形のため酸化リスクがあります。このガイドでは、エモリエント(皮膚軟化)成分としてのスクワランの役割と、他のオイル成分との比較、肌タイプ別の取り入れ方を解説します。

結論

スキンケアに使うべきはスクワレンではなくスクワラン

水素添加によって酸化安定性が大幅に向上しており、脂性肌を含む全肌タイプに対応できる汎用性の高いエモリエント成分です。

スクワランとスクワレンの違い

スクワレン(squalene)は天然に存在する炭化水素で、ヒトの皮脂にも約10〜12%(Pappas, 2009)含まれる成分です。鮫の肝油に多く含まれることから以前は「深海サメ由来」として有名でした。

スクワレンの分子には6つの二重結合(不飽和結合)があり、空気中の酸素と反応して酸化しやすいという欠点があります。酸化したスクワレンは活性酸素を生成し、毛穴詰まりや肌荒れの原因になるとされています(Kohno et al., 1995)。

スクワラン(squalane)はスクワレンの二重結合をすべて水素添加(水素化)して飽和させた安定型の誘導体です。酸化しにくい安定した構造を持つため、スキンケア製品への配合に適しています。

項目スクワレンスクワラン
結合の種類不飽和(二重結合あり)飽和(二重結合なし)
酸化安定性低い(酸化しやすい)高い(酸化しにくい)
スキンケア適性非推奨(毛穴詰まりリスク)適している
製品での表記スクワレンスクワラン

⚠️ 成分表でスクワレンを見つけたら注意

スクワレン(不飽和型)が単体で配合された製品は酸化リスクがあります。現代のスキンケア製品のほとんどはスクワラン(水素添加型)を使用していますが、成分表で「スクワレン」か「スクワラン」かを確認する習慣をつけましょう。

エモリエント成分としての役割

エモリエント(emollient)とは皮膚軟化作用を持つ成分の総称です。角層の水分が蒸発するのを防ぐ「蓋」として機能し、肌の柔軟性を保つ役割を担います。

スクワランの3つのエモリエント効果

  1. TEWL(経皮水分蒸散)の抑制
    スクワランの薄い油膜が角層表面を覆い、水分の蒸散速度を低下させます。乾燥環境での保湿効果の持続に寄与します。
  2. バリア機能の補強
    皮脂の主成分スクワレンと化学構造が近いため、肌のバリア層に自然になじみ、損傷したバリアの修復をサポートします。
  3. 肌の柔軟性向上
    角質細胞間の摩擦を軽減し、肌の触感を滑らかにします。カサつきやざらつきを感じやすい肌のキメ整えに効果が期待できます。

スクワランはヒューメクタント(水分を引き込む成分、例:ヒアルロン酸・グリセリン)ではありませんが、ヒューメクタントと組み合わせることで「引き込んだ水分を蓋で保持する」という相乗効果が得られます。

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植物由来・動物由来の違い

スクワランの由来は大きく3つあります。歴史的に最初に普及したのは鮫由来ですが、倫理・環境問題から現在の主流は植物由来に移行しています。

鮫肝油由来(歴史的主流・現在は希少)

深海ザメの肝臓油から精製されるスクワランです。かつては安価で安定供給できましたが、深海ザメの乱獲問題と動物愛護の観点から多くのブランドが使用を廃止し、現在はほぼ流通していません。

オリーブ由来(高品質・やや高コスト)

オリーブ油からスクワレンを抽出し水素添加したものです。品質が安定しており、高級スキンケア製品や敏感肌向け製品に多く使用されます。

サトウキビ由来(現在の主流・持続可能)

サトウキビの廃糖蜜から発酵・精製されるスクワランです。大量生産が可能で安価、かつ持続可能な製造プロセスであることから、現在の市場シェアの大半を占めています。化学構造はオリーブ由来と同一です。

化学的には由来を問わず「スクワラン」の分子式(C30H62)は同一であるため、効果に差はありません。

他の油剤との比較

スクワランはエモリエント成分として優れていますが、目的によって他のオイル・成分と特性が異なります。選択の指標として比較表を参考にしてください。

成分名さらっと感酸化安定性おすすめ肌タイプ
スクワラン全肌タイプ
ジメチコン(シリコン)乾燥〜普通肌(脂性肌は△)
ホホバ種子油乾燥肌◎
アルガニアスピノサ核油乾燥〜混合肌◎

ジメチコン(シリコン)との違い

ジメチコンはシリコン系ポリマーで、オクルーシブ性(封鎖力)が非常に高く皮膜形成能に優れています。一方でやや重い質感があり、脂性肌では毛穴に見えにくい膜感が気になる場合があります。スクワランは同じエモリエントでも軽いテクスチャーで肌なじみが良く、脂性肌でも使いやすい点が差別化ポイントです。

ホホバオイルとの違い

ホホバ種子油はワックスエステルが主成分で、植物油の中では酸化安定性が高いほうです。保湿持続性が高く、乾燥肌への保湿効果はスクワランより強い傾向があります。一方でスクワランのほうが軽い使用感のため、夏場や脂性肌での使用に向いています。

💡 乳液代わりのスクワラン活用法

乳液・クリームの代わりにスクワラン数滴を化粧水に混ぜて使うのが手軽で効果的な取り入れ方です。混合後すぐに塗布することで化粧水の水分とスクワランの保湿蓋効果が同時に得られます。

肌タイプ別の使い方

スクワランは「全肌タイプに対応できる」とされる数少ないエモリエントです。ただし量と使い方は肌タイプによって変わります。

乾燥肌:2〜4滴を化粧水後に重ねる

化粧水でしっかり水分を与えた後、スクワランを顔全体に広げて蓋をします。乾燥が強い場合はさらにクリームで重ねることで保湿効果が持続しやすくなります。

脂性肌:1〜2滴を乾燥が気になる部分のみ

皮脂量が多い部位(Tゾーン等)は省き、乾燥しやすい頬・目元のみに少量使用します。べたつく場合は化粧水に1滴混ぜる方法が馴染みやすいです。

混合肌:UゾーンのみにピンポイントOK

皮脂が多いTゾーンは避け、乾燥しやすいUゾーン(頬・あご周り)のみに少量塗布するのが基本です。量を調整しながら自分のバランスを見つけてください。

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PPIでスクワラン配合製品を評価する

スクワランはエビデンスレベルが割り当てられたエモリエント成分として、PPI算出に反映されます。成分表でのスクワランの位置を確認することで、その製品における保湿設計の重要度を把握できます。

スクワラン配合製品を選ぶ3つのポイント

① 成分表でのスクワランの位置

成分表の上位(5番目以内)にスクワランがある製品は、エモリエント効果を主軸にした処方です。後半のみの記載は微量配合で保湿蓋効果は限定的です。

② ヒューメクタントとの組み合わせ

グリセリン・ヒアルロン酸Naなどの水分保持成分(ヒューメクタント)と一緒に配合されている製品は「引き込み+蓋」の相乗効果が期待できる処方設計です。

③ テクスチャーとの整合性

スクワランは軽いオイルです。製品が「さらっと系」を謳いながらもスクワランが後半配合の場合、主なエモリエントは別成分(ジメチコン等)の可能性があります。

この記事で学んだ知識を製品選びに活かす

PPIスコアで成分の実力と価格を同時に比較できます。

よくある質問

Q. スクワランは脂性肌でも使えますか?

A. 使えます。スクワランは軽いテクスチャーのオイルで、肌の皮脂成分(スクワレン)と構造が近いため肌なじみが良くべたつきにくいです。少量を乳液や化粧水の後に重ねることで保湿効果が高まります。

Q. スクワレンとスクワランはどちらがスキンケアに向いていますか?

A. スキンケアにはスクワランが適しています。スクワレンは不飽和結合があるため酸化しやすく、酸化スクワレンは毛穴詰まりの原因になります。スクワランは水素添加で安定化されているため酸化リスクが低いです。

Q. サメ由来スクワランと植物由来スクワランは効果が違いますか?

A. 化学構造は同一なため効果に差はありません。現在は環境・動物保護の観点からサトウキビ・オリーブ由来の植物性スクワランが主流で、品質も安定しています。

Q. スクワランとホホバオイルはどちらが良いですか?

A. 用途で選びます。スクワランはさらっとした仕上がりで乾燥肌〜脂性肌まで幅広く使えます。ホホバはワックスエステルが主成分で保湿持続性が高く、乾燥肌向けです。PPIで配合量を確認してから選ぶのが合理的です。

About PPI

成分力スコアPPIとは

PPI(Potential Power Index)は、成分表の上位10成分のエビデンスレベルと配合位置から算出する独自の成分力スコアです。価格は含まれません。スクワランのようなエモリエント成分が成分表の前半に配合されているほどPPIが高くなります。

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